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パプリカより甘いカレ。

第2章 恋はピーマンとパプリカ



「ほれ」


先生が渡してきたものは入部届だった。



「…ども」



「なんだよ、アイツといるときはあんなに笑ってたのに」


先生の顔が不機嫌になった。
なんで、不機嫌になられなきゃいけないの。
そう思うとイライラした。


「先生が私を嫌いになったんじゃないですか」


「はあ?いつだよ」



「だって、あのとき距離を直ぐ様おいたじゃないですか…」


思いだすたび、悲しくなってきた。今までこんなことで落ち込まなかったのに。



「ハハッ!お前バカだなあ…」


“お前”って呼ばれてドキッとした。
しかも、おまけに髪をくしゃくしゃしてきたから、心臓がバクンバクンである。



「な、何がバカなんですか!」



「いや、嫌いになるわけないだろ?」



「じゃあなんで距離を…」



「近かったから」



「え…」


先生は、ちょっと赤くなっていた。癖なのか、髪をくしゃくしゃしだした。



『おはよう、長谷部先生、数学教えてねっ』


タイミングの悪いところである生徒が先生に話した。



もう、遠慮してほしいよ。


私が教室に戻ろうとしたとき、

「ああ、忘れてた。今日からちゃんとやれよ」


先生は約束していた数学のプリントを持ってきてくれた。

だから私は


「ちゃんとやりますよ」


と、笑顔でこう答えた。



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