
2つのグラス
第5章 青いグラス
ふと外を見ると
綺麗な夕焼けが見える
「久しぶりに見た…」
「そうだな、普段なら
定時に終わろうと必死な
時間だからなぁ…」
二人は夕焼けを見つめた綺麗なグラデーション
夕焼けは二人の時間を
止める
「なあ…」
部長の声に振り返る
「…んっ!」
部長の唇が当たる
奈央はとっさに部長から
離れた
「…ごめん。
でも今キスしたいって思ったから」
「…もぉ」
言葉が続かない
鼓動が高まり動けない
沈黙が続く
奈央は言葉を探し
とっさに手にある
ボールペンを思い出した
「あっ…部長これ」
「…あぁ悪いな」
ボールペンを渡そうと
手を伸ばしたそのとき
部長は奈央をひき寄せ
抱きしめる
一瞬理解できず慌てたが
奈央は逆らうことなく
受け入れた
…なんでかな安心する
部長は重い口を開いた
「普通にしようと
頑張ってるんだ…
だけどなやっぱりオレ
理性が押さえられない」
腕の力が強くなる
高鳴る鼓動
奈央は逆らうことなく
部長に体を預けた
そして頷いた
「うん…私も」
もう二人には
迷いがなかった
