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たまゆらの棘

第2章 燃ゆる日々

ところで悪魔の倫は、どう、桜美 麗に復讐しようかと考えていた。倫の傷が治った頃、倫は麗の携帯電話に公衆電話から電話した。あれから3カ月が経とうとしていた。麗は倫からの電話に歓喜した。「倫くん、あれっきりだと思ってた…」麗が嬉しさで涙ぐんでいるのが電話口からも解った。
「デートしようか。」倫は言った。
「デ・デート?…私、…したことない。…ずっと女子校だし。」「僕とデートする?しない?」
麗は電話口で小さく、「…したい。」と恥ずかしそうに言った。「じゃ、土曜日にフルーツパーラー、来れる?」「ええ」麗は興奮冷めやらぬ様子で答えた。「2時でいい?」「ええ」「じゃあ、土曜日ね。麗さん。」倫は電話を切った。倫の頭の中には筋立てがもう出来ていた。倫は売りをする時、新宿御苑でしていた。バーとあまり近いと面が割れるからだった。売りの仲間には色んな人種がいた。倫はその何人かに「いい話しがある」と声をかけていた。倫は何度か麗とデートを重ねて麗の倫への信頼度を深めていった。しかし、実家がどこにあるのか、本名、携帯電話の番号などは、巧妙に隠した。麗は倫に夢中になった。倫は四回目のデートで麗に初めてキスをした。麗は「初めてよ…」と言って倫の胸にもたれかかった。そろそろ実行する時がやってきたと倫は感じた。五回目のデートで倫は麗をホテルに誘った。ワシントンホテルの一室。準備は整っていた。先に二人の男を待機させておいた。勿論、隠れた状態で。麗はきっと全てを自慢気に友人たちに話しているだろう。鼻持ちならない成金の家の娘などたかが知れてる。そしてまた誰かをターゲットにしていじめているに違いない。

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