
たまゆらの棘
第2章 燃ゆる日々
柔らかな5月の朝日がふたりの体を優しく撫でていた。
ふたりは裸のまま抱き合うように寄り添って眠っていた。
藤原は倫の髪を撫でた。愛しくて仕方ないとでもいうように、その、眠っている倫の瞼にキスをした。倫は目を覚ました。藤原は朝日の中、自分の腕の中に、美しい倫がいることに感動していた。
「起きたか?」
「起こしたんだろ…」倫は薔薇色の頬で言った。あれから夜中に、もう一度、倫は抱かれ、体は少し、軋んでいた。
「体…大丈夫か…?」藤原は倫の頬を親指で撫でた。
「平気。生娘じゃあるまいし。」倫は毒づいた。ふたりは笑った。そして藤原は倫を引き寄せると、倫の美しい唇に、軽く、キスをした。
「…倫、おはよう。」「…あ…おはよう…」思えばこんな風に朝、おはようなんて挨拶は、何年も交わしていなかったような気がした。倫の胸は不思議な感覚でぼうっとした。
その後、ふたりはそれぞれシャワーを浴びた。倫がシャワーから出ると、藤原が言った。
「頼みがある。」藤原は煙草をくゆらせながらニコニコと言った。「何か朝食を作ってくれ。冷蔵庫に色々ある。」
「え?」倫は驚いて藤原を見た。
「何だその顔は?」藤原は笑った。
「料理は苦手か?」
「作ったこと、ない。」倫は答えた。
「ははは!そうか。」藤原は煙を吐き、煙草を揉み消すとソファから立って近づいてきた。
「得意な事は何かないのか?」
倫の中で日本舞踊がチラと浮かんだが、もう俺は終わったんだ、と心に棘を刺した。
「ない。」倫は答えた。
「そうか。得意なものは、その美貌だけか。」しばらく沈黙が続き、藤原は言った。
「俺は料理が得意でな。お前に教えてやる。」
「ええ?!」何を言い出すかと思えば…
「無理!無理です!」倫は言った。
「なあに。覚えて損はないぞ。何も難しいものを作れと言ってるんじゃない。オムレツから行くか。」勝手に話しを進められ、倫はオムレツから料理を習うこととなった。
ふたりは裸のまま抱き合うように寄り添って眠っていた。
藤原は倫の髪を撫でた。愛しくて仕方ないとでもいうように、その、眠っている倫の瞼にキスをした。倫は目を覚ました。藤原は朝日の中、自分の腕の中に、美しい倫がいることに感動していた。
「起きたか?」
「起こしたんだろ…」倫は薔薇色の頬で言った。あれから夜中に、もう一度、倫は抱かれ、体は少し、軋んでいた。
「体…大丈夫か…?」藤原は倫の頬を親指で撫でた。
「平気。生娘じゃあるまいし。」倫は毒づいた。ふたりは笑った。そして藤原は倫を引き寄せると、倫の美しい唇に、軽く、キスをした。
「…倫、おはよう。」「…あ…おはよう…」思えばこんな風に朝、おはようなんて挨拶は、何年も交わしていなかったような気がした。倫の胸は不思議な感覚でぼうっとした。
その後、ふたりはそれぞれシャワーを浴びた。倫がシャワーから出ると、藤原が言った。
「頼みがある。」藤原は煙草をくゆらせながらニコニコと言った。「何か朝食を作ってくれ。冷蔵庫に色々ある。」
「え?」倫は驚いて藤原を見た。
「何だその顔は?」藤原は笑った。
「料理は苦手か?」
「作ったこと、ない。」倫は答えた。
「ははは!そうか。」藤原は煙を吐き、煙草を揉み消すとソファから立って近づいてきた。
「得意な事は何かないのか?」
倫の中で日本舞踊がチラと浮かんだが、もう俺は終わったんだ、と心に棘を刺した。
「ない。」倫は答えた。
「そうか。得意なものは、その美貌だけか。」しばらく沈黙が続き、藤原は言った。
「俺は料理が得意でな。お前に教えてやる。」
「ええ?!」何を言い出すかと思えば…
「無理!無理です!」倫は言った。
「なあに。覚えて損はないぞ。何も難しいものを作れと言ってるんじゃない。オムレツから行くか。」勝手に話しを進められ、倫はオムレツから料理を習うこととなった。
