
たまゆらの棘
第2章 燃ゆる日々
「難しいじゃないですかっ!」倫は焦げて中身が半熟のオムレツを皿に盛って藤原に言った。
「火加減!…それを覚えるにはオムレツがもってこいだ。」藤原は「うん。…旨い。塩加減はばっちりだぞ。」藤原の指揮のもと、倫が作ったサラダ、トースト、そしてオムレツをふたりで平らげた。藤原は焦げた部分もきれいに旨そうに倫の前で食べた。「言っておくが中身の半熟加減もばっちりだぞ。」
「…あの…今日で二日目ですよね。…仕事、いいんですか?」
「俺と一緒にいるのがそんなに嫌か?」
「いや、そうじゃないんですけど、俺、何でこんなことしてるんだろって…」
「オムレツのことか!」藤原は笑った。そして立つと、優しく倫の頭を撫で、
「たまにはいいだろ、こういうのも。」と言って珈琲をいれに行った。
正直…倫は、まんざらでもなかった。何かこの藤原という得体の知れない男のペースに巻き込まれていく自分が幸せだった。(しあわせ?馬鹿か。俺にはその資格はない。)倫は自分のその気持ちに気づくと、それを否定した。
「藤原…さん。俺がお尋ね者の理由、話します。」珈琲を持ってきた藤原に倫は意を決して言った。
「俺…義父に虐待されてきたんです。十歳から…」倫は日舞をやっていた事から麗の事件まで全てを話した。話しをしていて、時々苦しくなる倫を察すると、藤原は倫の髪をそっと撫でた。藤原はじっと聞いていた。
「だから俺は悪魔なんです。気をつけて下さいよ。」倫はそう締めくくった。沈黙がすこし続き、藤原が言った。
「そうか。」と明るく言った。そして
「おまえに何があったという事は、俺には関係ないことだ。忘れろ。俺はおまえを裏切らなくとも、おまえが俺を裏切るなんて百も承知の上だ。だかな、悪魔じゃないぞ。おまえは俺にとっては少なくとも天使だ。」またもやこの言葉を聞くとは…
「悪魔だ!」倫は叫んだ。
「…こっちに来い。」倫はためらったが言われた通りにした。藤原は倫を胸に抱きながら言った。
「じゃあ、せめて…堕天使でいいじゃないか…」倫の頬に一筋の涙が流れた。
「火加減!…それを覚えるにはオムレツがもってこいだ。」藤原は「うん。…旨い。塩加減はばっちりだぞ。」藤原の指揮のもと、倫が作ったサラダ、トースト、そしてオムレツをふたりで平らげた。藤原は焦げた部分もきれいに旨そうに倫の前で食べた。「言っておくが中身の半熟加減もばっちりだぞ。」
「…あの…今日で二日目ですよね。…仕事、いいんですか?」
「俺と一緒にいるのがそんなに嫌か?」
「いや、そうじゃないんですけど、俺、何でこんなことしてるんだろって…」
「オムレツのことか!」藤原は笑った。そして立つと、優しく倫の頭を撫で、
「たまにはいいだろ、こういうのも。」と言って珈琲をいれに行った。
正直…倫は、まんざらでもなかった。何かこの藤原という得体の知れない男のペースに巻き込まれていく自分が幸せだった。(しあわせ?馬鹿か。俺にはその資格はない。)倫は自分のその気持ちに気づくと、それを否定した。
「藤原…さん。俺がお尋ね者の理由、話します。」珈琲を持ってきた藤原に倫は意を決して言った。
「俺…義父に虐待されてきたんです。十歳から…」倫は日舞をやっていた事から麗の事件まで全てを話した。話しをしていて、時々苦しくなる倫を察すると、藤原は倫の髪をそっと撫でた。藤原はじっと聞いていた。
「だから俺は悪魔なんです。気をつけて下さいよ。」倫はそう締めくくった。沈黙がすこし続き、藤原が言った。
「そうか。」と明るく言った。そして
「おまえに何があったという事は、俺には関係ないことだ。忘れろ。俺はおまえを裏切らなくとも、おまえが俺を裏切るなんて百も承知の上だ。だかな、悪魔じゃないぞ。おまえは俺にとっては少なくとも天使だ。」またもやこの言葉を聞くとは…
「悪魔だ!」倫は叫んだ。
「…こっちに来い。」倫はためらったが言われた通りにした。藤原は倫を胸に抱きながら言った。
「じゃあ、せめて…堕天使でいいじゃないか…」倫の頬に一筋の涙が流れた。
