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たまゆらの棘

第2章 燃ゆる日々

「もう駄目だ。」
「何が駄目なんだ。」「もう決めたんだ、別れるって!」
藤原の形相が変わった。「別れさせないぞ、倫!」「アンタじゃなきゃだめなんだ…」「俺だってそうだ倫!」藤原は倫をこれでもかと揺さぶった。「殺せ。殺してくれ、藤原ーーっ」倫は叫んだ。
「別れるなら殺すぞ!」藤原は倫の首に手をかけた。だが、藤原に倫を殺す事は出来なかった。倫の首には赤く藤原の手の跡がついた。倫は咳き込み、咽びながら言った。「それじゃ駄目だ藤原…俺を殺そうとして殺せなかった女達と一緒だ…」「殺せる訳がない。こんなに愛しいのに。」藤原は目に涙をためて言った。ふたりは床にへたり込み、息を荒くしていた。

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