
たまゆらの棘
第1章 幼き日々
倫は日舞がやりたかった為、これまで義父の虐待に耐えてきたが限界だった。十四歳。抵抗できる歳で抵抗するとベルトで強く叩かれた。また義父は空手をやっているので急所を外した攻撃が得意だった。母親は長女の育児に夢中だった。それは倫をなきものとしているほどに。母親は倫が言わずとも虐待に気付いていたはずだから。それでも今の生活レベルの幸せを壊したくないのが倫の母親だった。母親は倫が疎ましかった。倫さえいなければ万事、良くなると思っていたのだ。そして日々、刻々と老けて行く自分と比べ、思春期の倫は、影を持っていても皆が振り返るほどの美少年になっていたことで、異性の自分の息子でさえも嫉妬に燃えるようになっていた。特に夫と倫の関係を知ってから。
倫の通うのはミッション系の共学、私立学校だった。学校での授業前の礼拝、静かな蝋燭の灯り、オルガンの音は倫の生活の中で、最も静かな癒やされる時間であると共に、「この世に神などいるものか」という神へ対する怒り、神へ対する馬鹿にした思いそのものを持ち合わせていた。他ならぬそれは倫の境遇から生まれた矛盾した心理だった。倫は学校で声をかけられる男子女子共に仲良く、そして深い仲に入っていった。義父との経験上、それは何ということはない遊び…というよりも、やさぐれた、あてつけの心理の部類であった。
倫の通うのはミッション系の共学、私立学校だった。学校での授業前の礼拝、静かな蝋燭の灯り、オルガンの音は倫の生活の中で、最も静かな癒やされる時間であると共に、「この世に神などいるものか」という神へ対する怒り、神へ対する馬鹿にした思いそのものを持ち合わせていた。他ならぬそれは倫の境遇から生まれた矛盾した心理だった。倫は学校で声をかけられる男子女子共に仲良く、そして深い仲に入っていった。義父との経験上、それは何ということはない遊び…というよりも、やさぐれた、あてつけの心理の部類であった。
