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突撃をかわされた佐橋は、しかし慌てず、素早く酒守の方へ向き直す。

「見苦しい戦い方ね！無様よ！佐橋さん」

振り返る佐橋の頸をめがけ、酒守は的確に刀を降り下ろす。

日本刀が佐橋の首にざっくりと刺さった。



「甘い！甘すぎるぞ酒守ぃぃぃぃぃ！！」

佐橋は頸に食い込んだ日本刀を素手で掴み、自らぐいぐいと頚に食い込ませる。

佐橋の頸や日本刀を握る手のひらからは血が吹き出し続けた。

「行け！竜崎！！」

佐橋の声に弾かれるように竜崎は酒守に飛びかかる。

「うわあぁぁッッ!!」

竜崎のナイフは酒守の頸に突き刺さる。

佐橋の刀を掴んで離さないという自らの命をなげうったような奇策中の奇策に酒守は驚愕し、正常な判断を失っていた。

突撃する一司をかわす為に刀を捨てればいいだけの判断を誤まり、竜崎の突撃をもろに受けてしまっていた。

「はがっっ……」

酒守は驚愕の眼差しで竜崎を見る。