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竜崎は恐怖と興奮で無我夢中になる。

酒守の頸に充分突き刺さったナイフを更にグイグイと押し込む。

ナイフが骨に刺さり、それ以上深く刺さらなくなっても竜崎は力の限りナイフを押し込む。

酒守の口からはどろどろとした血がコポコポと音を立てるくらい溢れ出て、生前のご自慢の顔を汚ならしく赤黒く汚していく。


酒守の刀を頸に受けた佐橋も崩れ落ちるように倒れ、再び動き出すことはなかった。




パンパンパンッッ




敵の旗を持ち帰り、試合が終了したという合図の三回の空砲が山中の夜空に鳴らされても、竜崎はまったく力を緩めることなく酒守の頸元に突き刺したナイフをグイグイと押し込んでいた。

とっくに死んでいたが生き返るかもしれないと有り得ない妄想に駈られ、ひたすら酒守の頚にナイフをギリギリと押し込んでいた。