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第3章 廃工場の夜

ゲームスタートの声と共に小石川篤弘はケムリに飛びかかるが、ケムリはそれを予期していたように素早くかわす。

ケムリはそのまま部屋を出て、入ってきた非常階段から表へ逃げていく。

「どうしたの篤弘!?」

ほのかが小石川が立ち上がれるように手を貸しながら尋ねる。


その際、ふくよかなほのかの胸がむにっと当たり、小石川は思わず顔を赤らめる。

「ゲ、ゲーム開始したら何してもいいなら、あいつを捕まえて尋問しても構わないんだろ? まあバレていたみたいだけど」


「なるほど。さすがは篤弘だね」



「……逃げられてしまっては仕方ない。取り敢えずここから脱出しないとな」


苦々しげに非常階段を見ながら小石川篤弘は呟く。



廃工場は何を作っていた工場かは知れないが、足元にパソコンなどに使う半導体基盤の割れたものなどが散乱していた。


壁や窓は所々穴が開いていたり割れたりもしている。

廃工場らしく天井の蛍光灯もちゃんと点灯しているもの以外に、消えているもの、ちかちかと点滅しながらついているものなどまちまちだった。



「とにかく耳なし芳一ゲーム参加者と会わないようにしないと」


ほのかの言葉に二人は無言で頷いた。


「音を立てず、三人で固まって移動しよう。まずは下の階に繋がる階段を探すんだ」


小石川らしく今すべきことを冷静に確認するように言うと、竜崎はさっと部屋から頭を出し、廊下の様子を確認する。



薄暗い廊下は不気味なくらい静まり返っていた。

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