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第4章 脱出不可能

「それでは賞金の授与です!」

ケムリは再び明るい声に戻り、竜崎の手をはねのけた。


タキシードの内ポケットから飾り気もない茶封筒を出し、ほのかに恭しく渡す。


「賞金一万円です!」


力の抜けたほのかは受けとれず、はらりとそれを落としたが、ケムリは全く気にする気配がない。

「賞金はさておき俺たちは退会したい!」

竜崎は血走った目でケムリを睨み付ける。


「それは出来ません」


「わかってるよ! 俺はルール違反したってならてめぇらが決めたゲームあと一個やってやるよ! だかほのかと篤弘は退会させろ!」



「だからぁ。それは出来ません」



「はぁ!?」

三人は声を合わせた。


「出来ないってどういうことですか?」

「吾郷ほのかさんも見て同意したはずですよ、規約を。『一度エントリーしたら終了までリタイア出来ません』って」


ケムリは諭すように昌幸に言う。


「でも脱出ゲームは終了したんじゃ……」


「ん? 脱出ゲーム? それは終わりましたよ。そうじゃなくてまだ終わってないじゃないですか」


ケムリはにっこり笑い、告げた。



「あなたの命は」




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