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第1章 私と彼

言って横を見ると、彼は優しい横顔で巣を見ていた。不意に唇が動く。

「まだ、卵もない巣だけどさぁ。いつか、あの巣から雛が産まれたらいいよな」

「はい、きっと雛が産まれてくれますよ」

私が返すと、彼の視線が此方を向いた。同時に私は固まってしまった。

だって、初めて見る暖かな表情はキラキラしてて眩しい笑顔だったから

私は顔を真っ赤にして俯いた。

悟られないように、御弁当の包みを広げて言った。

「は、早く食べないとお昼休み終わってしまいますね」

御弁当箱のフタを開けたとき、視線を感じた。私は横を少し見ると、彼の視線が御弁当の中身を見ていたからだ

「どれか、欲しい具がありますか?」

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