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第1章 私と彼

「ん、全部食いたい」

え?

私は自分の御弁当を見つめて、すぐに彼に渡した。

「お、お口に合うか分かりませんが、どうぞ」

「マジでいいの?」

聞いてきた彼に私は頷く。御弁当を受け取ると、彼は反対に自分のお昼ご飯だろうコンビニの袋を私に渡した。

「そんじゃ、交換な」

「あ、はい!」

ガサガサと袋の中身を見ると、パンが四つあり私が彼を見ると、もう食べていた。

「ウマイ! これ、アンタが作ったやつ?」

「はい、そうですけど…」

「料理得意なんだな。これなら金払ってもいいレベル」

ガツガツと、食べている姿が子供みたいで私は笑顔になった。

「ふふ、お金貰うほど上手くはありませんよ。それに、その量だと足りないでしょう?」

「ん―、確かに食い足りないな」

私は袋からパンを一つ貰い、後を彼に戻し言った。

「これだけで十分ですから、後は食べて下さいね」

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