テキストサイズ

オレンジ

第4章 固い壁

舌打ちする長谷川
焦りが表情に出ていた。

そんなとき

ふと、前方に人影が見えた。こんな時間に校舎に残っているのはあまりに不自然で、長谷川は警戒心を強めた。

コツコツ

近付く影、暗がりで顔が見えない相手は制服を着ている事までは分かる。

だが、見えない距離で止まり声がした。

「お探しのオサゲの姫はずっと上の方に居るよ。雨に打たれてね」

眉を潜める長谷川、コイツが言っているのは森永の事だと気付く。

だが、睨み付け長谷川は言った。

「お前の仕業か?」

「まさか、僕がやったんじゃないよ。でも、早く行かないと彼女どうなっちゃうかな――」

それだけ言うと、来た道を戻る。

同時に長谷川は急いで階段を上がった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ