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隣人

第3章 五月雨  6月

「美咲ちゃん、ビール取ってきて」
「はい」

美咲は、マスターに言われ、裏口に向かった。
空になった容器を外に出そうとドアを開けると、レイが壁にもたれて煙草を吹かしていた。

「レイさん!びっくりした」

何も言わず、美咲をジッと見つめるレイ。

怪訝に思い、そそくさと中に戻ろうとドアに手をかけると、レイに呼び止められた。

「あんたさ、雅人のこと満足させてないでしょ」

唐突な質問に驚く美咲。

「えっ…どうゆう…」

「女は顔だけじゃダメなんだよ。器量が大事。マグロなんじゃないの?あんた。
そのうち捨てられるから」

そう言い捨て、鼻で笑うとどこかに行ってしまった。

「マグロ…?」

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