君がくれたぬくもり
第20章 約束
「陽菜…?」
「わかってるよ…?
マリナさんのところに行くんだよね…?」
大好きだった岳の匂いからは、いつもと違う匂いがする。
甘くて刺激的な、女の人の………
マリナさんの匂い。
「……俺、お前とは別れる気はない…」
えっ…?
岳はポケットから何かを取り出し、陽菜の左手を握った。
「絶対迎えに行く。
あいつを説得して、絶対お前と一緒になるから…。」
ひんやりと金属の冷たさを左手の薬指に感じた。
視線を手にうつすと、シルバーの指輪が薬指にはめられていた。
「これ…」
「…俺を信じて待てるか?」
「え……」
「いつになるかわかんねぇけど…ずっと待っててくれるか?」
岳の目は真剣だった。
陽菜はまた涙が出る。