君がくれたぬくもり
第3章 秘密
石原 陽菜はどこにでもいる普通の女の子だった。
容姿も家柄も普通。
特にスポーツや勉強に優れているわけでもなく、
どこにでもいる普通の女の子だった。
家族は父・母・自分の三人家族。
一人っ子だった陽菜は可愛がられて育った。
しかし…
そんな幸せは脆くも儚く崩れていった――
―――父の事故死
お母さんは女手一人で陽菜を育ててくれていた。
お父さんが生きていた時ほど贅沢な暮らしはできなかったが、
それはそれで幸せだった。
でも……
それすらも陽菜から消え去ってしまったのだ。
父が無くなり、一年が経った頃だった。
今から六年前だ。