君がくれたぬくもり
第3章 秘密
彼に急に呼び出されたのだ。
待ち合わせは夜の八時半。
彼の塾が終わる時間だ。
場所はいつもデートでよく来るカフェ。
陽菜は待ち合わせの10分前には席に座っていた。
―――八時半
「ごめん。待った?」
待ち合わせ時間から5分が経ち、慌てて来た彼。
陽菜は笑って首を横に振った。
「話ってなぁに?」
「……うん。あの……さ?」
何となく……
嫌な予感がした。
そして予感は当たった。
「別れよう。」
「え………」
「やっぱり陽菜とは付き合えない。ごめんな?」
「ま、待ってよ…いきなりどうしたの?」
そう言うと、彼の名を呼ぶ女の声が聞こえた。
その人は…
陽菜の親友だった。
「…そういうことなんだ。」
「………ひどい。」
「ひどいのはどっちだ?
お前、母親の愛人に抱かれてたんだろ?
詐欺じゃねぇか!」