君がくれたぬくもり
第6章 煙草
そんなことがほぼ毎日続いた。
フリをすることは慣れた。
でも…
セックスには慣れなかった。
「和哉ごめんね…」
隣で寝息を立てる和哉の頭を撫で、自分も寝ようと布団に入る。
すると携帯の着信音が聞こえた。
和哉の携帯だ。
「和哉、携帯…」
和哉を揺するが起きない。
“♪♪♪”
鳴り続ける携帯…
陽菜は和哉の携帯に手を伸ばした。
「……?」
携帯を開くと、
“明美”という人からの電話だった。
明美……
誰だろう?
「何やってんの?」
突然話し掛けられビクッとした。
和哉が起きていた。
「で…電話…」
何も見なかったフリをして和哉に携帯を渡す。
陽菜は「シャワー浴びるね」と部屋を出た。
さすが安いマンション…
声…筒抜けだよ?
――『今から会おうぜ。
え?うるせぇなあ~(笑)
欲求不満なんだよ(笑)』
誰と話してるの…?
ねぇ和哉…
欲求不満ってなぁに?