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夢叶う日まで

第2章 戸惑い

「日曜!?ほぼ1週間前じゃないか!」

先生が眉を寄せる。
指導員も呆れたようだった。

「すみません…食欲なくて…」
「夏バテかねぇ?」

てきぱきと残りの診察をして、一本だけ注射を打つと、先生は医務室に戻っていった。

「今日はもう、寮に戻って休みなさい」

指導員にそう言われ、あたしは午後の授業をまるまる休むはめになってしまった。

「大川、寮まで送ってあげて」
「はい」

あたしは、ギクリと身をすくめた。

「ひ、一人で大丈夫です!」

慌てて抗議したけれど、指導員に押しきられてしまった。

気まずい空気のなか、ゆっくりとした歩調で、サトシが少し前を歩く。
あたしは少し距離をあけて、俯き気味についていった。

「ひな」

ふと気づくと、サトシとの距離が開きすぎていて、少し先でサトシが待っている。

「ひな、大丈夫?」

優しい瞳が、あたしの胸に波紋を作っていく。
後悔してるんでしょう?
あたしなんて、抱かなければよかったって、思ってるんでしょう? 

「――ないで」
「え?」

優しくしないで、関わらないで、話しかけないで―――

どれを言いたかったんだろう。

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