テキストサイズ

それでも恋するドM娘

第7章 ショートヘア

寺居は特に目的地も告げず街に向かう方面の電車に乗る。

千紗もとりあえず余計なことは聞かずついていく。

不意に彼はじっと見詰め、ボソッと呟く。

「……ほんと、お前その髪形に合うよな」

「そ、そうかな……へへ……ありがとうございます」

「その敬語やめろよ。同級生なんだしさ」

「はい……じゃない、うん」

「千紗って結構面白い奴だな」

寺居は笑いながら千紗の頭をやや荒っぽく撫でる。

「……っっ! そう、かな?」

憧れている寺居に頭を撫でられ、フニャッと笑って頬を染めた。

繁華街の最寄の駅で降りた二人はぶらぶらと街を歩く。

適当な店を覗いては笑ってあれこれ言ってくる寺居を見て、ようやく千紗は気がついた。

『これって……何か用事があるというよりはただのデートなんじゃ……』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ