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それでも恋するドM娘

第8章 代用品

急に自分を選んでくれ、愛してくれた寺居に、千紗は自分の思いが通じたんだと、勝手に自惚れていた。

しかしそうでなかった。

自分はあの子に似ていたから愛されたに過ぎなかったんだ……


情けなかった。

寺居に対する怒りなどではなく、舞い上がっていた自分が情けなかったのだ。


髪を切った日にいきなり進展したのだから何かしら理由があるということくらい、千紗だって気づいてはいた。

しかし気付きながら、考えないようにして流されてきた。


それが一番、情けなかった。

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