テキストサイズ

それでも恋するドM娘

第8章 代用品

富士見に見詰められながらデッサンされている時、感じてしまっていたという事実を千紗は認めた。

いつもはへらへらと不真面目な感じの富士見だが、絵を描く時の表情は真剣そのものであった。

鋭く、全てを見通そうとする瞳に全身が晒され、千紗はぞくぞくとしてしまっていた。

高い鼻や彫りが深く日本人離れした顔立ちの富士見は確かに外見だけでも魅力的ではあった。

しかしそれ以上にあの鋭い目の力に千紗はすっかり魅せられていた。

服を着ていても、確かにそれを透かして見てくるような富士見の視線。

とくんっ……

千紗の心臓は再びテンションを上げて鼓動する。

そしてゆっくりと立ち上がりトイレを出た。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ