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「うん。でもその前にね……」

ホテルの近くまで来て朝霧はすっと息を吸い、厳しい気配を見せる。

そしてその瞬間に地面を蹴って走り出した。


突如走り出した朝霧に、慌てたように誰かが逃げ出す。

しかし不意を衝かれたその人物は、脚を絡ませて転びかける。

朝霧は間髪入れずにその人物にタックルを食らわせて抑え込んだ。

「離せっ!!」

抵抗するその人物の手首を捻り上げ、地面に組み伏せた。

「佐倉さん、こいつ知ってる奴？」

朝霧は悠然とその人物の顔をあげさせて千紗に尋ねる。

「……ッッ!! こ、光太くん……どうして……」

朝霧に捕らえられた人物は、千紗の幼馴染みである姫野光太であった。