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それでも恋するドM娘

第12章 罪悪感の根底

「先輩は恋愛とかしないんですか?」

「失礼な!! 恋愛くらいするよ。と言うか佐倉さんよりしてるよ」

「へぇー! 意外です」

「絵を描くときはね、描く対象物を愛さないといけないんだよ。だから絵を描くたびに恋をする」

「なぁんだ……そんな話か……」

「そんな話とは失礼な!! 真面目な話だよ」

「じゃあリンゴ描くときはリンゴを愛するんですか?」

「もちろん」

「やっぱりバカらしい話です。そう言うんじゃなく女性を愛するかって話です、私が聞いたのは」

「そりゃそうだよ。女性を描くときはその女性を愛している」

そう言って富士見は先程のスケッチブックを開いた。

「例えばこれとか」

富士見が開いたページには千紗が描かれていた。
それも今日千紗が着ている服の姿の千紗が描かれている。

「な、なぁんだ……やっぱりさっき私のこと描いていたんじゃないですか……っ」

千紗の鼓動が一気に速くなる。

「なんか……富士見先輩ってズルいですよね……」

千紗は頬を赤らめてうつむいた。

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