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授業が始まっても朝霧が教室に現れることはなかった。


学級委員長である千紗のところにも朝霧の欠席の連絡は教師から聞かされない。



気合いをいれていただけに拍子抜けしていた千紗が、朝霧欠席の真相を聞かされたのは放課後だった。


「なんでしょうか、先生」

職員室にやって来た千紗は担任の前に立ち、用件を尋ねる。


「あ、佐倉。悪いな放課後に。実はな、朝霧が停学になったんだよ」


「えっ……!?」


「まだみんなには内緒にしておいて欲しいんだけどな。一週間くらいの停学になる。
しばらくは副委員長の朝霧がいない分佐倉に負担がかかると思うけど、よろしくな。先生ももちろん出来る限り協力するから」


「なんで……朝霧君が停学に……」


「まあ、理由は、ちょっとな……頼むよ、佐倉」


話は終わりというような断定的に言い放って担任はくたびれたような笑顔を浮かべた。



千紗は呆然としたまま職員室をあとにした。