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朝霧はあからさまに人目をはばかるように足早に歩いていた。



身を小さく屈めて人混みのなかを素早く進むため、危うく見落としそうになる。



尾行がバレないようにしながらも見失わなってはいけない。

朝霧を目で追うことに集中しすぎた姫野は前からやって来た人物と思わず衝突をしてしまう。


「あっ……すいません」


姫野はその人物に謝る。


しかしぶつかった相手は浅黒い中東から来た外国人で、姫野の言葉も理解していないのかそのまま通りすぎていってしまった。


そのちょっとしたトラブルの隙に、朝霧はだいぶ先の方まで歩いていってしまっていた。