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恋のかたち

第10章 こいのカタチ

次にマレーシアへ移動し、交易状況と品物の質を目視確認する作業を手伝い、転送されてきたメールのデータを元に改善点がないか見直しをしたりした

そんなこんなで、長かった旅も終わりを迎え、とうとう明日帰国する

早る気持ちで落ち着かず、朝日が待ち遠しい
会ったらどうしよう?
迎えにくるかな?
ドキドキワクワクしてまるで遠足を心待ちにした子供の心境そのものだった。

「あぁあ~早く会いたい!!」
素早く荷造りを終えた優愛は、興奮してキャリーバックをとんとんたたきながら悶えている・・

携帯が振動しながら、鳴る

「もしもし!」
素早く通話ボタンをおして、逸る気持ちがそのまま伝わる
「元気で何より」
冷静な秋豊の声は、今の優愛に物足りない
「そりゃ元気ですよ!いけませんか?秋豊さんは明日が待ち遠しくないんですねー、いっつもそう。大人ですねー」
ちょっと拗ねて、嫌みを込めた

「ふん。生きた年数分鍛えられてんだよ。ガキっ・・まぁ、でも今日に限っては夜が憎いかもな」

「ぷっクサすぎですよ。でも同じ気持ちかも・・」

にやけながら受話口を耳に押し付けた
放電の熱さを感じながらも、ぎゅっと携帯を握るてにも力が入る

少しでも秋豊の声を聞いていたい

「明日到着11時15分だったな」
「はい」
「埠(はとば)部長が迎えに行くって言ってたぞ」
優愛を空港へ送ってくれた企画部部長の靡く髪を思い出した

「え!?」
秋豊が来ないことに予想以上にショックを受ける

「なんてな・・丁重に断ったよ。俺が行くから知らない人について行くなよ」
「なっ・・・私そこまで子供じゃありません!」
「え?そうだっけか?まぁ、寝坊しておいてかれねぇようにしろよ」
「もぅ~わかってますって!!」
「ははは、じゃあもぅ寝ろよ」

「・・・最後に愛してるって言ってくれませんか?」

優愛の声が小さく震える

「優愛・・・」
秋豊の静かな声に、ごくっと唾をのむ「直接言ってやるからもう寝ろよ。じゃあな・・プッツーツー・・」

切られた・・固まる優愛

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