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恋のかたち

第7章 夏休み ~スタート~

「いえ。まだです・・」
「なら行くぞ」
椅子から立ち上がり、ラフなスーツ姿の秋豊が手早くデスクの上のパソコンをしまう

デスクが二層構造で、デスク裏のスイッチで、卓上が下がり、横から二層目のデスク板がスライドして閉じ
何もないデスクと早変わりした

優愛は、その光景に目を丸くした
「仕掛け机なんですね・・」
「まぁ、そうだ・・データを守る為だ」
優愛の前を通りながら答える

優愛もその後ろを付いて歩く
「教わったか?」
優愛をちらっと見ながら聞いてきた
「あっはい!丁寧に教わったので何とか・・」
鼻をふんっと鳴らすと
「上出来」
と満足気に微笑んだ

その顔にふいにキュンと胸が高鳴った

エレベーターで一階まで降りると、フロントでにこやかに受付嬢の人にいってらっしゃいませと挨拶された

ぺこっと頭を下げて通りすぎ、自動ドアを二回抜け
ガードマンに頭を下げ、ようやく表通りに着いた

信号を渡った先に、イタリアンの喫茶店のような造りのお店が建っていることに気づく

秋豊は迷わずその店に向かっていく

優愛は、慣れないヒールで、信号を渡る際何かに躓きそうになった

「たくっどんくせぇな」
悪態付きながらも優愛の腰を支える
そのお陰で転ばずに無事に信号を渡り切れた

「あっ、ありがとうございます」
赤面しながら伝える

「ふん。ノロマ!」
そう言うも、瞳が優しさを帯びている

優愛は、またも胸が熱くなる

店内では、ドキドキと高鳴る心臓で落ち着かなく
何を話したか、どんな味だったか全然わからなかった

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