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恋について

第4章 悠


当日。
『ょぉ』
「ひさしぶり、遅かったかな」
予定より一時間早い今。
会いたいと言われて、嬉しくない女はいない。
『…ぉまぇ、かわいーな』

きっと君が女の子といるのを知らなかったら、きっと死ぬほど嬉しいだろう。
でも、なんでこんなに苦しいの??
ただ好きなだけなのに、
どうして叶わないの??
ただ一番になりたいのに
どうして裏切られるの?
ただ愛されたいのに
どうして、傷つくの??

「…ぁりがと」
涙がでないようにするので、必死だった。
きっと、声が震えてだろう。

雑貨屋にはいる。
あたしの家の近くにはないような輝くショップ。
アクセサリーはあたしの宝物。
洋服よりも好きなもの。

始めてもらったアクセサリーは悠からだっけ。

あたしはただボーッとしてた。
「…これかわいい」
ピンクの丸い石がついてる、イヤリング。

『つけてみろよ』

鏡のなかのあたしに光る、ピンクの輝き。
『…似合うな』 ボソッ

「…ぇ、なに??」
よく聞き取れなかった。
『なんでもねーよ、買ってやる。かせ』
強引にとってレジへといってしまった。

『待たせた??』
「ううん、別に」
『なに見てた??』
「特に」
『そう、ちょっと休むか』
「ぅん」
ベンチまで歩いていった。

『飲み物買ってくる』
彼氏として、男として完璧だ。
こんな人が、本当にあたしの彼氏だったのか。
過去のことさえも曖昧になった。

『時間だし、いくか』
コクッと頷き、悠の背中についていった。

花火をやる公園についた。
いる人は少しも知らない人たち。
歳上で自由をてにいれた人たち。

パチパチパチパチ
花火がきれいに燃えている。
『きれいだな』
悠とあたしはいた。
何人もいるこの空間の端に座り込みゆっくりと燃え尽きる花火を見ていた。

キョロキョロ

あたしは気づいていたのかもしれない。
目を背けていただけだったのかもしれない。

『悠ちゃんっ…』パタパタパタ
ロングワンピースの女がかけてきた。
悠はゆっくり立ち上がり、女のもとに近づく。


ふたりで話してる。
あたしに向けてくれなかった笑顔を向ける。

あの女??
あたしよりも大切なひと?

自分の耳に触れる。
さっき買ってもらったばかりのイヤリング。
なんで、買ってくれたの??

この意味はなに?

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