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姉とのこと

第1章 小さな約束

弟の正一(しょういち)は
幼稚園に入園する前から,
1つ違いの姉の恵美(めぐみ)の
後ろばかり追いかけていた。

近所に同年代の子供が
多かった事もあるだろうが,
姉の恵美は社交的に育ち
自然と面倒見の良い子供だった。
このあたりは母親の教育の
たまものだろう。
それは幼稚園に入ってからも同じで
姉は良い意味でのガキ大将だった。
故に姉の言うことは絶対だった。
うかつに逆らおうものなら
げんこつで殴られてしまうなど
理不尽な事もされたが
正一の事は必ず守ってくれた。

ある時、庭に繋がれている
犬ではあったが激しく吠えられて
怖くて泣く事も出来ずに居たとき
姉は正一の前に立ちはだかり、
自分も怖くして大粒の涙を流しながらも
守ってくれた事もあった。
おやつも必ず分けてくれた。
正一にとって姉は大きな存在で
大好きだった。



正一は幼稚園に入ってから
姉と一緒の布団で寝ていた。

それまでは,子供部屋に
家族四人で寝ていたが
姉が幼稚園に入るのを期に
二段ベッドを購入して徐々に
姉が独り寝になり,
部屋を2分割して親の部屋と
子供の部屋に分けるなどして
慣らしていき正一の入園を期に,
子供部屋を元に戻し,
子供だけで寝るようになったのだ。

最初に上と下のベッドを選ぶ権利は
正一に譲られたので
秘密基地の様な上段を選んだが,
正一は一人で寝るのが怖いのと
ハシゴを登る事ができないので,
姉のベッドで一緒に寝ていた。

両親もいずれは独り寝すると思い
それを微笑ましく思い,
そのままにしていたので
一緒に寝るのが
習慣になってしまっていた。

そして,小さい姉弟なので,
寄り添って寝ているのが
普通だった。

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