テキストサイズ

姉とのこと

第2章 小学生の時は・・・

姉が小学生になったのを期に,
就寝時には居間で両親に
「おやすみなさい」を言って,
弟を連れて行くようになったので,
母親が子供部屋に
キスをしに来る事はなくなったが,
正一が小学生になった時には
さすがに時期だろうと思ったのか

「そろそろ一人で寝なさいね」

と釘を刺されてしまった。
親にしてみれば
姉に甘えているように思えて,
自律しなさいという思いからの
言葉だった。


母親の言いつけで
正一は一人で寝ようと
二段ベッドの階段を
登ろうとしていた。

「一人で寝るの?」

と恵美は下のベッドの上に座って
正一に聞いた。

「・・・うん。小一になったし」

と言って強がって見せたが内心は
とても心細くて仕方なかった。

正一が布団の中に入ると恵美が

「電気消すよ〜」

と言って灯りを落とした。
暗くなると正一は
急に不安になってきてしまった。
考えてみたら一人で寝るのは
すごく久しぶりだった。
熱を出した時でも
母親と両親のベッドで寝た。
その時は父親は子供部屋に
布団を敷き姉と寝ている。

灯りを消して5分もすると
いてもたってもいらなくなり

「お姉ちゃ〜ん・・・」と

不安でいっぱいの声を
布団の中から漏らした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ