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姉とのこと

第2章 小学生の時は・・・

「・・・一緒に寝る?」

とやさしい姉の返事が返ってきた。
正一は黙って起き上がり
枕を持ってハシゴを下りた。

「おいで。一緒に寝よ」

と姉が布団を開けてくれたので

「うん」

と短く返事をして布団の中に入ると
正一は申し訳なさそうな顔で
姉の顔を見た。
姉はしょうがないねと言う顔をして

「二人の秘密だよ」

と正一の頭を数回撫でて

「おやすみ」

と母親の様に
正一のおでこにキスをして
眠りについた。


この時は少しふざけ合う雰囲気ではなかったのでパジャマを着たままの就寝だったが,思えばこの日が姉と弟のずれたボタンをかけ直すチャンスだったのだろう。

しかし,幼い頃に交わされた
「二人の約束」は新たに更新され,
小学校に上がっても就寝時に
裸になって一緒に寝る事は続いた。

それは,あまりにも二人にとって
自然な事で違和感も
疑問も持たないくらい
習慣となってしまっていたからだ。


ただ,正一の布団が
それほど乱れても
汚れてもいないことを
疑問に思った母親が,

「ずいぶんきれいね?
 正ちゃん,まだお姉ちゃんと
 一緒に寝てるの?」

と聞いてきた事があり
それからは寝るベッドを
一日毎に姉のベッドと
正一のベッドを変えるようにした。

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