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添い寝フレンド

第4章 添い寝フレンド(4)

あの夜から月に1~2度のペースで彼女とは会っている。

出会ってから1年が経とうとしているけど、僕は彼女が普段何をしているのかは知らない。
どんな人生を歩んできたのかも聞いたことがない。
彼女も僕にあれこれ聞いたりしない。

僕らが知っているのはお互いの体温だけ。
それだけでいいと思っている。


ただ一度、珍しくお互いがなかなか眠りに就けずに体を撫で合っている時、彼女が自分のことを話したことがある。

この部屋からそう遠くない夜の店で働いていると言っていた。
単にお酒を出すだけの店ではなく体も触るし触らせる、と。
どの程度?言いかけたその疑問は飲み込んで彼女の指先に意識を集中した。

きっとこんなに優しくはないんだろう。


彼女は気まぐれに僕を呼び出す。
僕はできるだけそれに応じる。

僕は彼女の指先に癒され、彼女は僕が癒されることに癒される。
奇妙な慣れ合いはどちらかが満たされるまで続いていく。
そして終わるときは唐突に違いない。


そう言えば、最初のmixiのメッセージもいきなりだった。
今日もまた前触れなくメールが届いてそんなことを思う。


「今夜会える?」

シンプルな大人の女の誘惑。
だけど求め合うのは子供じみた戯れ。


僕は夜の街に車を走らせる。
セキュリティのないマンションに堂々と入り、インターフォンを鳴らすと彼女が顔を出す。
出迎えの言葉はいつからか、いらっしゃいから「お疲れ」に変わっている。

いつまでもざわめく街のすぐ裏側で、言葉も交わさずに僕らはベッドに潜り込む。
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