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激愛~たとえ実らない恋だとしても~

第7章 第二話・其の参

 あのときの恐怖も口惜しさも、いまだに宥松院の心にまざまざと滲み込んでいる。あのとき感じた屈辱をまざまざと思い出し、宥松院は唇をきつく噛みしめた。
 ここに、愛に敗れた女がいた。宥松院は愛を欲しながらも、けして手に入れられなかった淋しい女だったのかもしれない。愛されなかったその理由が己れの心の卑しさにあるのだと、恐らく彼女は永遠に知ることはないのだろう。

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