激愛~たとえ実らない恋だとしても~
第7章 第二話・其の参
「このようなことはかえって直截に申し上げる方が良いと存じますゆえ、はきと申し上げます。実は、かねてより宥松院さまはお手許の侍女を殿にお勧め参らせたいとお考えにございます」
唐橋の視線に、もう迷いはなかった。
突然の言葉に、部屋の片隅に控えていた智島の顔色が変わる。
「それは―」
智島が言いけると、唐橋はしたり顔で頷いた。
「さようにござります。宥松院さまがご自身にお仕えする者を殿のご側室として献上なさりたいとのご意向をお持ちあそばされておられます」
「何と」
智島が悲鳴とも呻きとも判らぬ声を上げた。
「その者はお葉という娘にて、父は瀬尾安兵衞親影と申し、この尾張さまに三河よりお仕えしてきた譜代の重臣の家柄にございます。もとより、美にして賢、歳も十八と丁度良き頃合いにございます。何より健やかな身体を持ち、殿のご側室となった暁には、すみやかにお腹さまとなり得るのではと、いたく宥松院さまも乗り気でおわされまする」
しばらく美空から応えはなかった。
唐橋の視線に、もう迷いはなかった。
突然の言葉に、部屋の片隅に控えていた智島の顔色が変わる。
「それは―」
智島が言いけると、唐橋はしたり顔で頷いた。
「さようにござります。宥松院さまがご自身にお仕えする者を殿のご側室として献上なさりたいとのご意向をお持ちあそばされておられます」
「何と」
智島が悲鳴とも呻きとも判らぬ声を上げた。
「その者はお葉という娘にて、父は瀬尾安兵衞親影と申し、この尾張さまに三河よりお仕えしてきた譜代の重臣の家柄にございます。もとより、美にして賢、歳も十八と丁度良き頃合いにございます。何より健やかな身体を持ち、殿のご側室となった暁には、すみやかにお腹さまとなり得るのではと、いたく宥松院さまも乗り気でおわされまする」
しばらく美空から応えはなかった。