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Red Phoenix

第1章 少年時代

え・・・?
後ろから足音が聞こえる。
しかも、かなりハイペースだ。
半信半疑になりながらも、幻聴だ!
と振り払うが足音は徐々に、近くなっている。
まるで追いかけっこを楽しんでいるような足取り。
どうか、幻聴であってほしいという願いを込めながら、後ろを振り返った。

「ひぃっ」

思わず口からうわずった声が漏れた。
運動音痴のはずの樹ががにこにこしながら、俺のすぐ後を走っている。
俺だってかなり体力を切り詰めて早く走っているのに、樹は余裕そうに俺のすぐ後ろを走っている。追いつけないと言うよりは余裕をもって後ろについてる。という感じだ。
息だってぜんぜん上がって無い。おかしい。
樹の赤い目が俺の事をのぞき込む。俺の目と樹の目が真っ直ぐに合うと顔がよりいっそう優しく歪んだ。
早い。早過ぎる。

「ヒデに追いついちゃったよ。何で逃げるの?」

無邪気な声とは裏腹にどんどん距離が縮まっていく。その瞬間、樹の手がすぐ前にいる俺の腕をつかんだ。
その力に俺はあらがえなかった。
これが小学生の力のはずが無い。

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