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電話ボックス

第2章 二

雨はさっきより弱まったようだ。

といっても、外に出て行く気になるほどではない。

僕はガラスに背をあずけ流れ落ちる雨を見る。

濡れた衣服が肌に張り付き気持ちが悪い。

体も冷えている。

このままでは風邪をひきかねない。

もう少し待ってここから出よう。

雨は止まないだろう。

早く体を温めたい。

背中がゾクゾクしてきた。

体が震える。

僕は扉に手をかけ、開く。

夏とは思えないほど冷たい外気が頬に触れた。

冷えた体からさらに体温を奪う。

ゾクリ。

首筋の辺りが粟立つ。

何か冷たいものが、僕の首に触れた感触。

僕は慌ててそこに指を這わせる。

何もない。

髪から雫が落ちてきたのでもない。

何かが触れた―ような感触を確かに感じた。

ここにいてはいけない。
再び僕の中で警告音が鳴る。

早くここを出なくては。
僕は開けたままの扉から外に飛び出した。

駆け出す。

少し離れた所で立ち止まり、息を吐き出す。

深呼吸。

そして僕は今出てきたばかりの電話ボックスを見た。

何もない。

蛍光灯の明かりだけだ。
僕は深く息を吐いた。

何に対してこんなに敏感になっているのか。

少々臆病になっていた。
それだけだ。

そんな自分が可笑しい。
僕は自宅に向かって歩きだした。

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