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電話ボックス

第2章 二

僕は電話ボックスを見つめたまま動けない。

目をそらすことも出来ない。

雨は勢いを増している。
雨の中、傘もささず呆然と電話ボックスを見つめる僕は奇異に見えたことだろう。

僕は一歩踏み出した。

足が鉛のように重い。

一歩。

 完全に中に入るまでに

 あと一歩あればいい。

 僕はそろりと足を動かす。

 中に入った。

 何もない。

 何も起きない。

 いささか拍子抜けした僕はため息をつき、扉を閉めた。

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