
甘く溶かして。
第3章 ホワイトクリスマスーココロの崩壊ー
リビングの扉の前でピタッと静止した吉野が
すかさずポケットから
キラキラジャラジャラした携帯を
取り出した。
やっぱチャラい…。
―――ピッ
吉野はボタンを押して電話に出る。
「うん、うん」と何やら返事をしている。
あたしがちょっとだけ気になって
「?」
を出すと―――
「若菜、おばさん」
吉野が自分の携帯をあたしに渡した。
「え、お母さん…?」
そう呟きつつ電話に出ると
『もしもし、若菜?』
携帯の向こうから母の声がした。
「お母さん?なんで、吉野の携帯に…」
『それがね、
ばったり吉野さんと会っちゃって。
行く場所も同じだっていうから
…ダブルデートよ!』
