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RAIN

第6章 拒絶《拓海side》

神崎くんの許可を得て風呂に入った俺は、今後の神崎くんとのことで頭を占める。

これから神崎くんに対してやろうとしている行動は神崎くんを傷心に陥れる、最低な行為だ。わかっていながら俺はそれを実行しなければならない。


俺の中で激しくせめぎ合う。
しかし俺は自分自身叱咤すると、決心を鈍らせまいとやや水音をあげて風呂をあとにした。






シャツに上からフード付きジャンバーを着込み、履き慣れたジージャンに着替え、両手には風呂入ってる間に終わった洗濯物を神崎くんに渡すためにおさまっていた。
「洗濯終わったみたいだから……」
彼に渡せば、「すみません」と謝罪をいれながらも、何処か残念がっているような面影を浮かべる神崎くんに、俺は呆然と眺めながらも受け流す。

すぐに制服に着替えた神崎くんを確認して、俺はタイミングを計るように次の言葉を発した。
「ごめん……、そろそろバイトにでなくちゃいけないからいいかな? その代わり、途中まで送るよ」
「あ、すいません。すっかり長居しちゃって……」
「いや、呼び止めたのは俺の方だから」
神崎くんは謝罪を述べながらいそいそと鞄を手にする。


神崎くんを先に出して鍵をかけてからアパートを出る。
神崎くんに自宅がどこかと問えば、駅方面とは反対にあると返事が返り、バイト先からかなり遠回りしてしまうが、仕方ないと少しばかり足を広げることにした。




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