
RAIN
第10章 裁かれた母子の行末《拓海side》
だがそれは俺も彼に対し、感謝していた。感謝の意味は違ってはいたが。
「それに俺、諦めてないですから」
にっと悪戯っぽい笑みで口にした神崎くんを怪訝で見返す。
「今はまだ友達という関係でも、いつかきっと俺に振り向いてもらいますから」
はっきりとなんの戸惑いもなく言い切った神崎くんは、“大人”で“男”の顔をしていた。
敵わないと思った。同時にやはりこの少年は親友に似ていると再認識した。
どうすれば彼らのように強くいられるのだろうか? その芯の強さに俺は惹きつけられる。
何も答えず、ただ笑みを浮かべれば、神崎くんはどう解釈したのかわからないがそれでも屈託のない笑顔で返すところを見ると、きっと神崎くんなりに納得のいった返答だったようだ。
「あの……、わがままついでにもう一つ、今更な気がするんだけど、その……“拓海さん”って呼んでいいですか?」
俺から身体を離し、俺の隣で正座する形で、上目遣いで見上げる神崎くんの瞳は俺の様子を伺っていた。
大胆な行動をするくせに意外と真面目な性格らしい。
「もちろん構わないよ。それじゃ……俺も君のことを下の名前で呼んでいいのかな?」
「もちろんです!」
心底喜んでいる彼にこっちまで微笑ましくなってくる。
「えっと確か……翔くん……だっけ?」
「覚えててくれてたんですか?」
更に喜色が濃くなる。
「じゃ……翔くんって呼ばせてもらうよ」
「あ、呼び捨てでいいですよ。というか呼び捨てで呼んでください」
真剣な眼差しで訴える彼に気負けする勢いで、こくりと頷いた。
「それじゃ俺からも一つ」
へ、と声が漏れた。
「俺に対して敬語はやめて、普通にタメ語で話してくれないかな?」
俺の提案に、今度は困惑の色を表し出した。
「それに俺、諦めてないですから」
にっと悪戯っぽい笑みで口にした神崎くんを怪訝で見返す。
「今はまだ友達という関係でも、いつかきっと俺に振り向いてもらいますから」
はっきりとなんの戸惑いもなく言い切った神崎くんは、“大人”で“男”の顔をしていた。
敵わないと思った。同時にやはりこの少年は親友に似ていると再認識した。
どうすれば彼らのように強くいられるのだろうか? その芯の強さに俺は惹きつけられる。
何も答えず、ただ笑みを浮かべれば、神崎くんはどう解釈したのかわからないがそれでも屈託のない笑顔で返すところを見ると、きっと神崎くんなりに納得のいった返答だったようだ。
「あの……、わがままついでにもう一つ、今更な気がするんだけど、その……“拓海さん”って呼んでいいですか?」
俺から身体を離し、俺の隣で正座する形で、上目遣いで見上げる神崎くんの瞳は俺の様子を伺っていた。
大胆な行動をするくせに意外と真面目な性格らしい。
「もちろん構わないよ。それじゃ……俺も君のことを下の名前で呼んでいいのかな?」
「もちろんです!」
心底喜んでいる彼にこっちまで微笑ましくなってくる。
「えっと確か……翔くん……だっけ?」
「覚えててくれてたんですか?」
更に喜色が濃くなる。
「じゃ……翔くんって呼ばせてもらうよ」
「あ、呼び捨てでいいですよ。というか呼び捨てで呼んでください」
真剣な眼差しで訴える彼に気負けする勢いで、こくりと頷いた。
「それじゃ俺からも一つ」
へ、と声が漏れた。
「俺に対して敬語はやめて、普通にタメ語で話してくれないかな?」
俺の提案に、今度は困惑の色を表し出した。
