
夢幻の蜃気楼
第4章 “蒼き魔王”
二人が少年に何をしようとしているのか察した僕は、咄嗟に少年へと顔を大きく見上げて叫んだ。
「逃げて!!」
周囲に響く僕の声に、今度は僕へと一斉に視線が集中する。
特に二人の男の反応は大きく、慌てふためく。
「てめぇ……、黙ってろ!」
赤毛の男が怒りで僕を鋭く見据えると、すぐに僕の鳩尾に蹴りをいれてきた。
「うぐっ!?」
その痛撃で僕はひざまずく形になり、涙が溜まってくる。
すぐに赤毛男は僕の頭を鷲掴み、仲間である髑髏のピアスをした男に命令を下す。
「早くしろ。絶対に捕まえるんだ!」
自分が発した内容に興奮している男は、声を荒げて仲間を急かす。
「わ、わかった」
赤毛男の雰囲気に恐れをなしたか、髑髏ピアスをした男が動揺しながらも、少年を捕らえるために石段へと駆け上がって行った。
涙目になりながらも少年へと意識を持っていく。このままでは本当に僕だけではなく、少年も捕まってしまう。
だけど少年は身動き一つしない。石段上から、ただ彼は静かに佇んでいた。
どうして逃げないのだろうか?
男たちが少年を捕らえようとしているのは、はたからみても一目瞭然のはずだ。自分の身に危険が迫っているだろうことは察しているだろうに、彼は全く動く気配はない。それどころか待ち受けている節もある。
髑髏のピアスをした男が少年の間近まで近付き、少年を捕らえようと腕を伸ばした瞬間、それは一瞬にして事態が変わった。
それが何があったのか、どうしたのか僕をはじめ、二人の男も事態を飲み込めていなかったようだ。それだけ少年が取った行動についていけなかった。
「いってぇー……!?」
絶叫したのは少年ではなく、捕まえようとしていた男の方だった。
「逃げて!!」
周囲に響く僕の声に、今度は僕へと一斉に視線が集中する。
特に二人の男の反応は大きく、慌てふためく。
「てめぇ……、黙ってろ!」
赤毛の男が怒りで僕を鋭く見据えると、すぐに僕の鳩尾に蹴りをいれてきた。
「うぐっ!?」
その痛撃で僕はひざまずく形になり、涙が溜まってくる。
すぐに赤毛男は僕の頭を鷲掴み、仲間である髑髏のピアスをした男に命令を下す。
「早くしろ。絶対に捕まえるんだ!」
自分が発した内容に興奮している男は、声を荒げて仲間を急かす。
「わ、わかった」
赤毛男の雰囲気に恐れをなしたか、髑髏ピアスをした男が動揺しながらも、少年を捕らえるために石段へと駆け上がって行った。
涙目になりながらも少年へと意識を持っていく。このままでは本当に僕だけではなく、少年も捕まってしまう。
だけど少年は身動き一つしない。石段上から、ただ彼は静かに佇んでいた。
どうして逃げないのだろうか?
男たちが少年を捕らえようとしているのは、はたからみても一目瞭然のはずだ。自分の身に危険が迫っているだろうことは察しているだろうに、彼は全く動く気配はない。それどころか待ち受けている節もある。
髑髏のピアスをした男が少年の間近まで近付き、少年を捕らえようと腕を伸ばした瞬間、それは一瞬にして事態が変わった。
それが何があったのか、どうしたのか僕をはじめ、二人の男も事態を飲み込めていなかったようだ。それだけ少年が取った行動についていけなかった。
「いってぇー……!?」
絶叫したのは少年ではなく、捕まえようとしていた男の方だった。
