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麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】

第5章 天上の苑(その)

「えっ」
 思いがけない科白に、浄蓮は息を呑んだ。
「実は、私も上着だけでも脱ごうかと考えていたところなんだ」
 準基はそう言いながら、手早くチョゴリを脱ぎ、自分で固く絞った。かなり濡れていたのか、雫がぽとぽとと滴り、地面に無数の染みを作る。
 下着も脱いだ準基は、上半身は当然ながら、何も身につけていない。チョゴリを着た上からでは細身だと思っていたのに、着痩せする質なのか、意外に筋肉もついていて逞しい。
 こうやって間近で見ると、やはり、まだ十五歳の浄蓮とは違い、大人の男の身体であった。
 思わず見つめてしまっているのに気づき、浄蓮は頬を赤らめ、視線を逸らした。
「済みません。私の方こそ、気がつかなくて」
 恐らく、準基はとうに、濡れた衣服を脱いだ方が良いことに気づいていたに違いない。だが、女性の身である浄蓮を気遣い、言い出さずにいたのだろう。
「確かに、ここは寒いね。雨のせいで、かなり気温が下がってきているんだろう。かといって、あの雨では、薪を拾う暇もなかったし」
 眉根を寄せる準基を前に、浄蓮は少し思案した後、チョゴリを脱ぎ始めた。
 いきなり前紐を解いた浄蓮に、準基が眼を丸くし、次いで真っ赤になって貌を背けた。
「私は、あっちを向いているから、気にしないで」
 大丈夫です、と、だけ応え、浄蓮はそのままチョゴリを脱いだ。準基をならって、手で固く絞ると、やはり雫がたくさん滴った。
 チョゴリを脱いでしまえば、上半身は胸に布を巻いただけの姿になる。はっきり言えば、半裸といっても良い、あられもない姿である。

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