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麗しの蓮の姫~炎のように愛して~【BL】

第5章 天上の苑(その)

 しかし、今日、準基と過ごしたわずかな時間で、浄蓮は彼がけして梁ファンジョンのように欲望を剥き出しにして襲いかかってくることはないと信じられた。
 だから、素直に言われるままにチョゴリを脱いだのだ。
 クシュンと、小さなくしゃみをした浄蓮を見て、準基が眉をひそめた。
「やっぱり、このままじゃ、いけないな。ちょっと待ってて、外に行って薪になそうな枯れ枝を拾ってくるから」
 止めるまもなしに、洞窟を飛び出していってしまった。
 準基が帰ってくるまでの時間が、浄蓮に途方もなく長く感じられてならなかった。遠かった雷鳴は次第に近くなってきて、まるで獣の低い咆哮のように、不気味に聞こえてくる。
 時折、カッと空で閃光がひらめき、薄墨を溶き流したような不気味な空が不自然に明るくなった。
 恐らく、時間にしては、たいしたものではなかったのだろうが、準基が帰ってきた時、浄蓮は夢中で彼に飛びついていた。
 弾みで彼がよろめき、腕いっぱいに抱えてきた枯れ枝が地面に落ちて四方に散らばった。
「ご、ごめんなさい」
 慌てて二人して枝を拾い集めたが、準基は怒るどころか、むしろ満面の笑みを浮かべている。
「私には、むしろ嬉しい歓迎だよ。浄蓮が私を待ち侘びて、抱きついてくるなんて、想像もしていなかった」
 準基が悪戯っぽい笑みで続けた。その声にかすかな艶が含まれている。
「私が傍にいなくて、少しは淋しかった?」
 彼の眼に笑みがきらめいている。
 浄蓮は、まもとに視線を合わせられず、狼狽えてあらぬ方を向いた。 
「わっ、私は別に抱きついてはいません!」
 浄蓮がこちらもまた頬を染めて訴えると、準基は笑っている。

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