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　いつものように胸に幾重にも巻いた布の下には詰め物をして、それなりに女らしく見えるようにはしている。だから、確かに一見すれば、乳房がその下にあるようには見えるだろう。
「若さま？」
　伸びてきた準基の手に腕を掴まれ、引き寄せられるままになっていた浄蓮は、ハッと自分を取り戻した。
　このままではいけない！
　警鐘が鳴っていた。
　準基の貌が近づいてくる。咄嗟に身を離して逃れようとした時、彼の手がすかさず浄蓮の頭を後ろから押さえ込み、グッと自分の方へ近づけた。
　唇と唇を軽く触れ合わせるだけの口づけ。
　あまりにもあっさりと離れた唇に、安心すると共にどこか淋しさすら感じたその時。
　狂おしいほどに強く唇を奪われた。
　口づけは次第に深くなってゆく。
　あまり慣れていないのか、それとも、情熱のせいか、準基はただ、浄蓮を奪うことしか頭にないようだ。
　あまりに長く唇を塞がれて、浄蓮は呼吸できず、小さく喘いだ。
　それがまた、準基を余計に煽り立てたらしい。
　少し離れたかと思うと、また強く乱暴に唇を押しつけられる。その中、躊躇いがちに舌が挿し入れられた。準基の舌が浄蓮の舌を絡め取り、口中を隈無く愛撫してゆく。
　く、苦しいッ。
　あまりの息苦しさに厭々をするように首を振り、離れようともがいたが、準基は逆に浄蓮の背中に回した手に力を込め、そうはさせじと引き寄せた。
「うぅっ」
　思わず零れ落ちたのは、自分でも信じられないほど艶めかしい喘ぎ声で、聞きようによっては、かすかに媚を感じさせるほどであったかもしれない。