
ヌミノース
第1章 1
酒を飲んでいた
いつもより量も多かったように思う
気化したアルコールの熱が、全身の皮膚を覆っている、感覚は普段の数倍鈍くなり、まるで浮遊しているような気分になる
このような場合、男性の性機能は減弱する
そう分かっていながらも目の前にある、しなやかな肢体を欲するのは、本能というものだろう
指先が彼女の敏感な部分に触れるたび、声は甘さを増していく
体を寄せ合いながら、お互いを刺激しながら、高まりを感じていく
だけど、知っている
彼女が匂わせる甘さと自分の体に宿る熱は、同じものではない
それは性別の違いではなく、お互いを愛していないからだ
いや、僕が愛していないだけだ
その感情を彼女も持っているとは限らない、推論でしかない
なぜなら彼女は今日会ったばかりの女性であって、私の恋人ではないからだ
つまり、一晩限りの女、というやつだ
しかし、一晩限り、というものが僕には理解できない
通例一晩限りというのは、異性の恋人とのすれ違いによる不安定な気持ちなどを埋めるための代償行為であるとされている
数時間前、酒とあいまって興奮気味の彼女はウイスキーのグラスを弄びながらずっと彼の話をしていた
なぜこうなったのか、彼になにがしてやれたのか、自分の何がいけなかったのか、
そしてただひたすら耳を傾けていた僕を彼女は、一晩限りに誘った
そして今に至る
彼女は美しくはない
ただ
いつもより量も多かったように思う
気化したアルコールの熱が、全身の皮膚を覆っている、感覚は普段の数倍鈍くなり、まるで浮遊しているような気分になる
このような場合、男性の性機能は減弱する
そう分かっていながらも目の前にある、しなやかな肢体を欲するのは、本能というものだろう
指先が彼女の敏感な部分に触れるたび、声は甘さを増していく
体を寄せ合いながら、お互いを刺激しながら、高まりを感じていく
だけど、知っている
彼女が匂わせる甘さと自分の体に宿る熱は、同じものではない
それは性別の違いではなく、お互いを愛していないからだ
いや、僕が愛していないだけだ
その感情を彼女も持っているとは限らない、推論でしかない
なぜなら彼女は今日会ったばかりの女性であって、私の恋人ではないからだ
つまり、一晩限りの女、というやつだ
しかし、一晩限り、というものが僕には理解できない
通例一晩限りというのは、異性の恋人とのすれ違いによる不安定な気持ちなどを埋めるための代償行為であるとされている
数時間前、酒とあいまって興奮気味の彼女はウイスキーのグラスを弄びながらずっと彼の話をしていた
なぜこうなったのか、彼になにがしてやれたのか、自分の何がいけなかったのか、
そしてただひたすら耳を傾けていた僕を彼女は、一晩限りに誘った
そして今に至る
彼女は美しくはない
ただ
