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lonely doll

第3章 My place

顔の包帯がとれて何日かたったある日、看護師がやっと鏡を見せてくれた

『綺麗に元通りになってよかったわね』

その微笑みはここにきて初めての私に向けられた微笑みだった

鏡に映った私の顔は綺麗に整っていたけれど、自分のものでないような気がして少し不快だった

その日の夕方、私の病室に初めて訪問者がきた

『やっと会えたね、マリカ』

そう、それがご主人様だ

「マリカ?・・・あなた、誰…?」

『本当に覚えていないんだね…一緒に帰ろうか』

そう言って微笑んだ彼はもう何者でもよかった

ここから連れ出してくれる綺麗な男の人

それだけで私の中では王子様も同然だったのだから

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