砂糖漬けな関係。
第2章 悪魔のような天使
バイト終わりの店の前にはすでに、大関秋斗が私を待っていた。
「お疲れ様。」
彼はいじっていた携帯から目を離して言った。
「ちょっと、詩保?どういうこと?」
一緒に出てきた咲枝は、驚いた顔で私に尋ねた。
そりゃそうだ。咲枝はあいつだけはやめておけって、いつも彼のことを毛嫌いしていたから。
「あの・・仕事のこと、なんだ。わからないことがあって・・」
とっさに嘘をついた。咲枝にわけを話してもきっと怒ってしまうから。
「ほんとに?」
怪訝そうな顔で咲枝は私を追い詰める。
(どうしよう・・)
咲枝は時々、怖い目をする。それがわたしはすごく苦手だった。
「橋本さんごめんね。榊さん新メニュー作れないんだって。」
彼は見かねたように、咲枝と私の間に割って入った。
「咲枝!ほんとだよ?信じて。」
「・・・この子私の大事な友達なんです。絶対に手出さないでくださいね。」
咲枝は私の肩をグイっと抱いて言った。
「帰ったら、絶対すぐ電話して。」
そういって咲枝は、黒いハイヒールの音を鳴らしながら帰っていった。
「あの・・ごめんなさい、なんか。」
すっかり空気は重たくなってしまった。
「いいよ、別に。じゃあいこっか。」
そう言って彼は、歩き出した。
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