どうして?僕が攻めじゃ不満なの?
第2章 化け猫+悪魔=笠井歩
「はよっ、穂浪ちゃん!!あんさー、プリント見せて?」
結局、僕にはどうすることもできず、遅刻手前で登校した。
学校に着くと、いつもパシりや頼み事のためだけに絡んでくるマサトくんとアイラくんが来た。
「はよー、俺も教科書借りてえ。」
僕とアイラくんは、同じクラスで同じ授業を受けるのに、貸したら僕はどうすれば良いんだよ。
「ぁ、うん。良いよ。」
でも、言い返すことや否定など出来ない僕は貸すことしかできない。
「んじゃ、借りてくねー、神様ありがとー。」
マサトくんは、僕の手からプリントを奪ってさっさと歩いて行ってしまった。
そういえば、歩くんの姿を探すけどどうやら教室には居ないようだった。
少しだけ、ホッとしてしまう。
僕が歩くんのことを考えて居たら、アイラくんが「んー」と唸って考え込んで
「お前、教科書どうすんの?」
と、聞かれた。
僕は耳を疑った。
あの、いつもパシりにしか僕を利用しないアイラくんが…無口で優しさの欠片もないアイラくんが…
「ぁ…うん、教科書…必要…」
素直な気持ちを口にすると、鋭い目つきで睨んでくる
「だ…けど、アイラくんに貸すから!!」
慌てて補修すると、深い溜め息…
「教科書、一緒見る?」
「ぇ…あ、はい。」
僕の返事に納得いったのか、アイラくんもマサトくんと同じ方向に消えていく。
…教科書って僕のだよね。
なのに、「一緒見る?」ってまるでアイラくんの持ち物のような言い方じゃないか。
ちょっと不思議に思いながら、鞄の中から教科書や教材類を机の中に整理すると丁度先生が来て、朝礼が始まった。
先生が来るとほぼ同時に、歩くんも教室に帰ってきた。
僕が歩くんをチラリと見ると、歩くんは僕をジッと見て目が合うと、裏の顔で微笑んだ。